労働時間(working hours)

以下の記述のうち、誤りがあります。その番号を選んでください。
(1)労働者に時間外労働、いわゆる残業(法定時間外労働)をさせるためには、就業規則あるいは個別労働契約書においてその旨を定めておく必要がある。それを経ずに残業をさせると労働基準法違反となるが、それを回避するためには36協定の締結、労働基準監督署長への届け出が必要である。
(2)始業時間に1時間遅れて出社した労働者が、その後この事業所の勤務時間が朝9時から午後6時(うち1時間が休憩時間)なので、終了時間後帳尻を合わせる意味で午後7時まで働いたときは、1時間の残業として割増賃金を支払わなければならない。
(3)ここ最近の過労死事故の発生により、労働時間設定等改善法により、終業時間と次の始業時間との間に、一定の時間を空けることにより、労働者の健康を保持し、疲労の蓄積により、勤務が不健全な状態でなされないように、9時間から11時間を目安に、インターバルを摂らせることを、努めるように事業主に求めている。
(4)法定時間外労働を抑制するために、変形労働時間制があり、その期間により、1ヶ月、1年、1週間そして始業・終業時間を労働者の裁量にゆだねるフレックス・タイム制がある。1年単位の変形労働時間制を採用した場合に、早期退職者や途中入社の者など、対象期間に満たない労働者の場合は、在職期間の週平均労働時間が40時間を超えた場合に割増賃金の支払いが必要となる。
(5)事業場外みなし労働時間制も、残業時間を抑制することを狙った制度であるが、現在の通信機器の発達により、使用者の指揮命令が及ばないような状況は考えにくく、制度自体の運用に疑問があるが、コロナ下での在宅勤務には、一定の要件の下、適用できる場合がある。この場合でも、自宅に別室を設けて、上司の指揮命令の下、具体的指示で業務を行うときは、事業所で勤務しているのと変わらず、事業場外みなしは適用できない。

【正解】(1)正しい。労働基準法32条、36条 36協定は免罰規定であり、法定時間外労働を命じる根拠は、就業規則等にある。
(2)誤りである。実際の労働時間が8時間は超えていないので、割増賃金を払う必要はない。
(3)正しい。事業主に求められているのは、今のところ、努力義務にとどまっている。
(4)正しい。32条の2,32条の3,32条の4、32条の4の2,32条の5
(5)正しい。38条の2
したがって、正解は(2)である。