年金額改定とマクロ経済スライド

以下の記述の中で誤りが一つあります。それを選択してください。

(1)マクロ経済スライドは、少子化や平均余命の伸びによる年金財政の負担増を給付を引き下げることでカバーする仕組みです。賃金や物価が上昇した場合に行われ、調整後の年金額が前年の年金額を下回る場合には、前年の年金額が保証されることになっています。

(2)マクロ経済スライドにおいては、賃金・物価の上昇率が調整率(キャリーオーバー分)よい下回るときは、調整すなわちキャリーオーバー分は更に翌年度に持ち越しされることになっている。当該年度の年金額は、賃金・物価の上昇分だけプラス改定される。

(3)賃金・物価が下落したときは、年金額は下落率分のマイナス改定がおこなわれ、キャリーオーバーとなっている調整分はそのまま翌年度に持ち越されることになっている。

(4)年金額の改定に関し平成33年度から年金額の改定ルールが見直されました。新規裁定者については、常に名目手取り賃金変動率での改定となりました。したがって、賃金・物価の関係がどのような場合であっても名目手取り賃金変動率での改定となります。

(5)(4)につき既裁定者については、平成33年度以降は常に低いほうの変動率での改定となります。すなわち、プラス幅の小さい、マイナス幅の大きいほうでの改定となります。今後、新規裁定者と既裁定者の関係において、改定なしというケースはなくなりました。

 

【解答】(1)そのとうりである。

(2)誤り。キャリーオーバー分は賃金・物価の上昇分にとどめ、残りは翌年度に持ち越しとなります。したがって、当該年度は年金額の改定はなしとなります。

(3)そのとうり。

(4)そのとうり。

(5)そのとうり。

 

退職時改定と基準日

以下の記述の中で誤りがあります。それを選択してください。

(1)厚生年金保険法では、厚生年金被保険者資格の喪失日は、厚生年金適用事業所を退職した日の翌日と規定されています。したがって、7月31日付で厚生年金適用事業所を退職した者が厚生年金の被保険者としての資格を喪失するのは、その翌日の8月1日である。

(2)老齢厚生年金の受給資格者が、厚生年金適用事業所を退職し、その後被保険者となることなく1か月を経過したときは、退職した日の翌日の資格喪失日から1か月経過後において退職時改定が行われる。したがって、7月31日に退職した者は、8月1日が資格喪失日となり、その1か月経過後の9月から退職時改定された新たな年金が支給される。

(3)2020年5月に成立した「年金制度改正法」により、2022年4月より「在職定時改定」の制度が施行されました。この制度によれば、9月1日の時点で厚生年金の被保険者である65歳以上の老齢厚生年金受給権者は、9月1日前の被保険者期間をもとに年金額の計算が行われ、10月にその改定が行われて増額した年金を受けることができるようになった。

(4)在職老齢年金制度の支給停止調整額について、65歳未満ではいわゆる低在老が適用され、65歳以降は高在老が適用されていましたが、2022年4月より65歳未満の老齢厚生年金受給者も高在老が適用されることになった。これにより、年金を全額受けられる可能性が広がり、就業意識が高まることが期待されている。

(5)(4)の支給停止調整額とは、総報酬月額相当額に基本月額(年金額の12分の1相当)を加えた額が一定の額を超えたときに、その超えた部分の2分の1を年金額から控除するという制度の基準となる額で、毎年1万円単位で改定されることになっている(勿論、据え置きの場合もありうる)。

 

【解答】(1)正しい(厚生年金法14条2号)

(2)誤り(法43条3項)。今までは設問の記述どうりであったが、共済制度との一元化後は共済制度にあわせるかたちで、退職日から1か月経過後となった。

(3)そのとうり。

(4)ただしい(法46条)。

(5)ただしい。令和5年度の支給停止調整額は、前年の47万から48万に改定された。

よって、(2)が解答となります。

 

 

労働時間と着替え時間

あるスーパーマーケットにパートタイムーとして勤務しているものです。制服の着用が就業規則で義務付けられていますが、いくつかの疑問があります。以下の疑問の中で誤りはいくつありますか、その数を選択してください。

(1)労働基準法によれば、労働者は労働の対償として、使用者から賃金の支払いを受けるわけですが、パート・タイマーにとっては、労働した時間に対し計算された賃金を受けますが、分単位の時間については、10分未満はこれをカットしても、使用者は許される。

(2)制服の着用が義務づけられている事業所で、自宅で制服の着用ができ、制服着王のまま通勤可能の場合は、制服着用のための時間は勤務時間として考えなくても許されます。

(3)制服の着用が義務づけられている事業所で且つ更衣室での着替えが義務付けられている場合、その時間は本来の労働の為の準備行為であり、労働時間となり、賃金計算の基礎をなす。また、退社する場合も、私服に着替えるまでの時間も、労働時間に参入される。

(4)タイムカードの打刻により勤務時間を管理している場合、打刻してから制服に着替え、また制服から私服に着替えてから退勤打刻をすることが通常の勤怠管理といえる。この逆に場合は、労働時間を賃金に計算しないことになり、大きな紛争のもとになる可能性がある。

(5)賃金の計算を時間単位でされる

パート・タイマーにとっては、仮に5分間の延長業務をした場合でも、それは労働時間であり、賃金計算に参入されなければならない。これを計算しないのは賃金全額払いの原則に反し、労働者は5年間(当面は3年間)遡って、賃金不払いの請求が可能である。

 

(A)一つ (B)二つ (c)三つ (d)四つ (e)すべて

【解答】(A)が正解です。賃金は1分単位で計算されるべきものでる。

制服の着用と労働時間の関係については、一定の条件の下ではあるが、勤務時間として認めっれるべきとの判例あり。

 

 

年金制度の歴史

以下の記述の中で誤りが一つあります、それを選択してください。

(1)年金制度の歴史は比較的新しく、その始まりは明治時代の全額税負担の「海軍退隠令」、「陸軍恩給令」に見ることができます。もっとこの勅令の対象になるのは、お国のために働く軍人やその遺族に限られていました。

(2)本来の年金制度に近いのは昭和15年から施工された「船員法」にあると考えられます。ただし、この名称どうり、対象者はこの船員法で規定されている船員に限られていましたが、この船員法では医療制度も含む社会保険制度の原型が見て取れます。

(3)厚生年金制度の始まりは、昭和17年施行の労働者保険法でしたが、適用事業所や対象の被保険者が男子肉体労働者でありかつ10人以上が要件であり、かなり限定的な年金制度はありましたが、その後昭和19年に厚生年金保険法と改称され、適用事業所の範囲や被保険者の範囲も女子にも広がりました。

(4)厚生年金保険法は戦後の昭和29年に大改正がおこなわれ、現在の年金制度のもとをなす、定額部分と報酬比例部分の2本立てとなり、支給開始年齢も男子65歳、女子60歳となりました。

(5)戦前の厚生年金制度の目的は、被保険者の老後保障というよりも、戦費調達の意味合いが強いもので、支給が実際開始されるのは何十年も先の話であり、戦争を継続するための費用をいかに捻出するか、このための制度創設であったと言えます。また、保険料は積み立て制度であり、現行の厚生年金制度のような世代間扶養制度ではありませんでした。

 

【解答】年金制度の歴史を問う問題です。年金制度自体は諸外国に国と認められ、認知された明治時代にその出発点を見出すことができますが、全国民というより、国のために働いたと考えられる軍人や高級官吏、そしてその遺族が対象でありました。

本来の意味での年金制度は戦後になって構築されたと言えるでしょう。

なお、(4)の旧厚生年金法の支給開始年齢は、男子は60歳、女子は55歳でした。

したがって(4)が誤りであり、本問の正解となります。

 

 

高度プロフェッショナル制度

以下の記述のうち誤りが一つあります。それを選択してください。

(1)高度プロフェッショナル制度は、成果に重点を置く制度であり、実質労働時間と成果の関連性が高ければ、労働時間管理が可能であり、高度プロフェッショナル制度は時間に捉われずに成果を達成するための制度といえる。

(2)高度プロフェッショナル制度の対象となる労働者には、労働時間、休憩、休日、深夜労働等の労働基準法の適用が除外される。しかし、使用者は労働時間について全く無関心であることは許されず、労働者の健康福祉の視点を常に考慮しなければなりません。

(3)2019年4月から実施されましたが、この制度を採用する企業は2021年4月時点で1万社を超え、対象労働者も10万に迫るほどに制度が浸透しています。

(4)高度プロフェッショナル制度では、成果主義が求められるため、対象労働者が成果を求めるため、労働時間が長時間に及ぶことがあり、結果として賃金の低下を招く恐れもある。

(5)高度プロフェッショナル制度では対象業務が限定されていおり、かつその賃金が通常の平均的賃金の3倍を超える水準が維持されなければなりません。弁護士や税理士、金融アナリストなどが対象となっていますが、医師は対象から除外されています。

 

【解答】(3)が誤りである。2021年時点で採用企業は20社、対象労働者は約550名ほどに過ぎない。

(1)(2)(4)(5)はいずれも、そのとうりです。成果を重視する労働者にとっては、年功序列や不平等な平等主義を排し、実力を評価してもらえる制度であるとは言えます。

 

労働時間・休憩・時間外労働

以下の記述のうち、一だけ正しいものがあります。それを選択してください。

(1)使用者は、労働時間が8時間を超える労働者に対しては、労働時間の途中に1時間の休憩を付与しなければならない。その1時間は分けて与えてもよく、終業時間につながる休憩も可能である。

(2)休憩時間は一斉に付与することが原則だが、労使協定を締結することにより、いわゆる部門ごとの事情により、一斉付与の例外適用をすることができる。なお、この労使協定は、労働基準監督署への届け出は不要である。

(3)フレックスタイム制を採用する場合は、始業時間及び終業時間を労働者にゆだねるため、その休憩時間についても当然に、そのとる時間については労働者にゆだねられる。

(4)法定の一定事業及び坑内労働に関しては、休憩時間を一斉に付与する必要はありませんが、労使協定を締結して、労基署に届け出なければならない・

(5)休憩時間は、本来労働者が使用者の指揮命令から離れて、自由に使える時間でなければならないので、外出届け出制、外出許可制等は許されない。

 

【解答】(1)誤り。労働時間の途中でなければならない。終業時間の繰り上げのような付与は認めっれない(労働基準法34条1項)

(2)正しい(労働基準法施行規則15条)

(3)誤り。フッレクス制を採用する場合であっても、一斉付与の原則は適用され、労働者の判断で休憩が自由にとれるわけではない。

(4)誤り。法定の特定事業と坑内労働については、労使協定なくとも一斉付与の例外が認められている(法40条、法施行規則31条)

(5)誤り。事業の秘密保持等に基づくときは、届け出制や許可制は許される。

 

従いまして、(2)が正解となります。

 

 

お疲れさまでした!

8月27日(日)、試験日でしたよね。

結果はさておき、お疲れさまでした。

結果はある程度テスト用紙持ち帰りができるので、予想点が想像できると思います。

予想される合格点を超えている自信がある方は、余裕をもって発表日を待てますよね。

ギリギリであると思われる方は、発表日まで落ち着かない日々が続きますね。

1年1回ですから、また来年というのは避けたいし、続けるべきかと、思い悩むことになります。

私の考えでは、3回までですね。

社労士になろうとするには試験をパスしないとダメなんですが、3年間かけてだめなら次のこと考えましょう。

後ろ向きの話でごめんなさい。

でも取りあえず終わったので、今日は、おいしいお酒、おいしい食事をして、自分を褒めてあげてください。

1年間、ご苦労様でしたと。

合格を、お祈りしています!