時間外労働と36協定

以下の記述の中から、正しいものを選択せよ

(1)36協定を締結し労働基準監督署長に届け出たが、その後当初予想したより多くの労働者が時間外労働をすることが頻発したため、36協定の時間外労働の限度時間を変更しようと過半数労働組合側と交渉し、合意に達したので36協定の内容を変更し、届け出た。これは許される。

(2)36協定を過半数労働組合と締結・届け出を済ませ、時間外労働、休日労働を可能ならしめる制度を整えたが、後に組合員が相次いで退職・脱退したため過半数要件を満たさなくなってしまった。この36協定は、効力を失い、改めて過半数労働者代表と締結しなければならない。

(3)複数の組合と36協定を締結したが、いずれも過半数要件を満たしていない。そこで、複数の労働組合の代表者の連署と事業主が署名をした。これにより過半数要件を満たしたこととなり、36協定としての要件を満たしている取り扱いをしても許される。

(4)出向労働者は出向先の指揮命令に従い業務に従事するが、出向元が賃金を払っている場合には、36協定の対象としては、出向元にあり出向先では36協定の対象労働者ではない。

(5)時間外労働分を、あらかじめ労働契約等で支給することが決められている場合、対象労働者には時間外労働としての割増賃金は発生しない。いわゆる、定額残業代制度は、広く認められ、運用されている。

 

【解答】(1)誤り。労使の合意があっても、36協定を覆すことはできない。これを認めると、時間外労働、休日労働の限度をいつでも変更できることになる。

(2)誤り。36協定の効力は、締結時にその要件を満たしていればよい。

(3)正しい。このような扱いをしても許される。

(4)誤り。出向労働者は派遣先とも部分的な労働契約を締結しており、派遣先の使用者の指揮命令により労働しているので、出向先の36協定の対象となる。

(5)誤り。定額残業代制度が有効であるためには、明確区分性・金額適格性・計算可能性を充足することにより許される。

解答は(3)である。