年金と労災給付との調整

以下の記述のうち、誤りの設問が複数あります。その番号を、指摘せよ。

(1)年金法上の年金保険給付と労災保険法の年金保険給付においては、年金保険法上の年金保険給付が優先的に支給され、労災保険法上の年金保険給付は調整給付されますが、20歳前障害の障害基礎年金は、例外的に、労災保険の保険給付が優先的に給付され、その間、支給停止されます。

(2)障害厚生・障害基礎年金の支給事由と同じ労災保険年金の障害補償年金は、同時に受給することができるが、併給調整の対象となり、一定割合が減額されて支給される。しかし、障害厚生・障害基礎年金の受給権者に新たに支給事由の異なる労災保険法上の障害補償年金の受給権が認められた場合、同じく厚生年金保険法上の保険給付は全額支給されるが、労災保険法上の年金給付は併給調整の対象となり、減額支給される。

(3)労災保険法上の年金給付が減額調整される場合に、その年金給付に付随して支給される特別支給金は、労働福祉事業として支給されるが、これも併給調整の対象となり、一定割合が減額されて支給される。

(4)労災保険と同一の支給事由(傷病)による障害厚生・障害基礎年金の受給権者が、老齢年金や遺族年金の受給権を併せて持っている場合、老齢年金や遺族年金を選択受給すれば、労災保険法上の保険給付は、併給調整の対象とならず、満額支給される。

(5)労災保険の障害等級8級~14級に該当する障害(補償)一時金は、障害厚生・障害基礎年金と支給事由が同じであっても、併給調整の対象とならず、一時金が全額支給される。

【解答】(1)正しい。併給調整の結果、労災保険法上の年金保険給付が減額される。

(2)誤り。支給事由が異なれば、併給調整の対象にはならない。

(3)誤り。特別支給金は保険給付ではなく、したがって併給調整の対象にはならない。

(4)正しい。異なる年金間では、併給調整はされない。

(5)正しい。併給調整は、年金を二重に受け取ることによる過度な救済を抑制する一面もある。

したがって、(2)と(3)が誤りとなる。