離婚による年金分割

以下の記述の中で誤りが複数あります。その組み合わせを(1)~(5)の中から選択せよ。

(ア)離婚による年金分割によりみなし被保険者期間を含めて240月になった厚生年金の被保険者が、再婚をし配偶者を扶養することになった。自身が65歳になり、3歳年下の被扶養配偶者がいる場合、自身の老齢厚生年金に配偶者加算が支給されることになる。

(イ)年金分割に関する情報通知書を受け、それに基づいて合意により分割割合が決まり、離婚をすることになりました。ところが、離婚直後に相手が急病により死亡した。この場合、死亡日から1か月を経過すると、年金の分割請求はできなくなります。なお、相手方の死亡を知ったのは相手の死亡日から3か月がたっていた。このばあいでも、1か月を過ぎているので分割請求はできません。

(ウ)年金分割に関する情報通知書を受け、双方の話し合いで分割割合(按分割合)を決めた。按分割合は100分の50として合意したが、日本年金機構に分割請求をしない限り、標準報酬の改定は行われない。

(エ)年金分割の合意をし100分の50で按分割合が決まりました。分割の効力は、第1号改定者に厚生年金基金の期間があるときは、その代行部分にもおよびます。

また、分割の効力は標準報酬月額にとどまらず、標準賞与額にも及びます。

(オ)離婚による年金分割は、障害厚生年金の受給権者に対しても分割請求は可能ですが、年金額計算の基礎となる被保険者期間が対象となるのであり、したがって、300月みなしの障害厚生年金の受給権者に対しても、離婚による年金の合意分割を求めることはできる。

 

(1)ア、ウ (2)ア、オ (3)イ、オ (4)ウ、エ(5)エ、オ

【解答】(ア)誤り。みなし被保険者期間は、加給年金を裁定する際の被保険者期間には算入されない。

(イ)正しい。判例があり、このような判断が下されている。

(ウ)正しい。確かに請求をして情報通知書を入手し、それに基づて、按分割合の合意をした。しかし、それだけでは年金分割はされません。年金機構に年金分割請求することで初めて分割が実現します。

(エ)正しい。そのとうりである。

(オ)誤り。300月みなしの障害厚生年金受給者に対し、分割請求はできません。これを認めると、受給権者の年金額が著しく定額になることが予想される。また、3号分割請求もできません。

(ア)と(オ)が誤りとなる。したがって、正解は、(2)となります。