配偶者加算と振替加算

以下の記述の中で正しいものが一つあります。それを選択してください。

(1)A男さんは厚生年金の被保険者期間が20年以上ある特別支給の老齢厚生年金を受給していましたが、65歳になり老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給することになりましたが、妻B子さん(65歳未満)を扶養していたので老齢厚生年金に配偶者加算がつくことになりました。その後、65歳を過ぎたB子さんに振替加算が支給されるようになりました。その後二人は離婚をし、A男さんはC子さんと再婚しました。C子さんは65歳になっても老齢基礎年金の受給権がなかったので任意加入し、67歳で老齢基礎年金の受給権を取得しました。その結果、C子さんに振替加算がつくことになりました。

(2)夫婦ともに20年以上厚生年金の被保険者期間があります。二人とも特別支給の老齢厚生年金の受給権がありますが、夫は給与が高額のため総報酬月額相当額が支給停止調整開始額を大きく超えてしまい、年金が全額支給停止となっています。この場合、妻の年金に配偶者加算がつくことになります。

(3)夫は大正13年9月生まれで、厚生年金に35年加入しており、旧法の厚生年金保険の老齢年金を受給しています。夫の厚生年金に家族手当ともいうべき加給年金額が支給されていました。夫により生計を維持されていた妻が65歳になりました。加給年金は失権し、妻は大正15年4月2日以降昭和41年4月1日の間に生まれたので、妻の老齢基礎年金に振替加算がつくことになります。

(4)昭和30年1月生まれの夫は、国民年金に10年間、厚生年金に18年間加入しています。61歳時に年金の請求手続をしました。その後も在職中で、63歳時に厚生年金の加入期間が20年となります。妻は国民年金のみの加入で30年間になります。

夫の老齢厚生年金に配偶者加給年金がつくのは、20年要件を満たした63歳からである。

(5)夫は67歳で老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給しており、老齢厚生年金に配偶者加算が上乗せ支給されています。妻は64歳ですが離婚しようと考えていますが、66歳になってようやく離婚しました。離婚する前に妻が65歳になり、その妻に振替加算が老齢基礎年金に上乗せて支給されるようになりました。しかし、離婚したために、振替加算の受給権は消滅し、老齢基礎年金のみの年金となってしまいました(年金分割は考慮しないものとします)。

 

【解答】(1)正しい。振替加算は、再婚時には加給年金の対象でなくとも、65歳以降に配偶者に老齢基礎年金の受給権が発生したときは、振替加算が支給されます。

(2)誤り。令和4年4月1日より、このような場合には、加給年金は全額支給停止となりました。以前は妻の老齢厚生年金に加給年金が支給されていましたが、改正により支給されなくなりました。ただし、期待権の保護からすでに支給されている場合などは停止措置はとりません。

(3)誤り。旧法の適用者には振替加算制度はなく、加給年金がそのまま継続して支給されることになっています。

(4)誤り。配偶者加算年金がつくのは、被保険者が65歳となり老齢厚生年金を受給できるようになったときである。

(5)誤り。振替加算は、本人自身の年金となるので、離婚したとしても消滅することはなく、老齢基礎年金に上乗せて支給されることになります。

したがって、(1)が解答となります。